気管支喘息治療薬
病態
気管支喘息は気管が慢性的に炎症を起こし、何らかの刺激が加わった時に種々の程度で細くなり呼吸困難、咳、喘鳴(ゼーゼーいう呼吸)といった症状が発作性に発生する(これを喘息発作と呼ぶ)病気。
夜間から早朝にかけて生じやすい。
安静にて自然に改善することもあれば,治療にて改善する場合もある。
気管支喘息の治療薬は今まではβ-stimulantが、主体として用いられ、気道の拡張に重点が置かれてきたてきたが近年の喘息治療薬に関する開発、研究から喘息の本態は気道閉塞による物よりも気道の炎症に寄与する所が大きいということが分かってきた。
そのため、炎症を抑える治療薬が主体となり、吸入ステロイドが(副腎皮質ステロイドの項を参照)主体となっている。
気管支喘息の原因とされるものには以下の3つの要因が考えられる。
1、気道の慢性炎症
2、可逆的な気道閉塞
3、気道過敏症によるもの
炎症を抑える治療薬が主体となり、ステロイドを中心とし抗アレルギー薬、気管支拡張薬が併用して用いられる。
長期的管理薬と発作治療薬を合わせて使うが、長期治療にはステロイドの規則正しい吸入が必要。
発作時にはβ-stimulantを吸入する。
長期管理薬は症状の軽快に合わせその吸入回数を調整し発作時の薬は軽快時には使用しない。
ステロイドの副作用に関しては、内服より遥かに低いことが知られている。
吸入薬には様々な使用法がある。https://iida-naika.com/blog/asthma/
喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)において治療の根幹を成すのが吸入薬。
これらの疾患に用いられる吸入薬の成分には、吸入ステロイド(ICS)、吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)、吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の3種類がある。
喘息に対してはICS→ICS/LABA→ICS/LABA/LAMAのように強化され、COPDに対してはLAMA→LAMA/LABA→LAMA/LABA/ICSのように強化される。行き着く先は全てトリプル吸入療法。
SABA:Short-acting beta-2 agonist
LABA:Long-acting beta-2 agonist
SAMA:Short-acting muscarinic antagonist
LAMA:Long-acting muscarinic antagonist
ICS:Inhaled corticosteroid
薬剤
β刺激薬
エフェドリン塩酸塩
dl-メチルエフェドリン塩酸塩:メチエフ
イソプレナリン塩酸塩:プロタノール、アスプール
トリメトキノール塩酸塩:イノリン
β2刺激薬(SABA)
サルブタモール硫酸塩:ベネトリン、サルブタモール「日医工」、サルタノール
テルブタリン硫酸塩:ブリカニール
フェノテロール臭化水素酸塩:ベロテック、フェノテロール臭化水素酸塩「タカタ」
β2刺激薬(SABA・LABA)
プロカテロール塩酸塩水和物:メプチン
β2刺激薬(LABA)
ツロブテロール:ホクナリン、ベラチン
クレンブテロール塩酸塩:スピロベント
サルメテロールキシナホ酸塩:セレベント
インダカテロールマレイン酸塩:オンブレス
ホルモテロールフマル酸塩水和物:オーキシス
テオフィリン薬(キサンチン誘導体)
テオフィリン徐放剤:テオドール、テオロング、テオフィリン、ユニフィルLA、ユニコン
ジプロフィリン:ジプロフィリン
プロキシフィリン:モノフィリン
アミノフィリン:ネオフィリン、アプニション
抗コリン薬(副交感神経遮断薬)SAMA
イプラトロピウム臭化物水和物:アトロベント
抗コリン薬(副交感神経遮断薬)LAMA
チオトロピウム臭化物水和物:スピリーバ
グリコピロニウム臭化物:シーブリ
アクリジニウム臭化物:エクリラ
ウメクリジニウム臭化物:エンクラッセ
抗コリン薬・β2刺激薬配合剤LAMA・LABA *COPDにも適応を持つものがある
グリコピロニウム臭化物・インダカテロールマレイン酸塩:ウルティブロ
ウメクリジニウム臭化物,・ビランテロールトリフェニル酢酸塩:アノーロ
チオトロピウム臭化物水和物・オロダテロール塩酸塩:スピオルト
グリコピロニウム臭化物・ホルモテロールフマル酸塩水和物製剤:ビベスピ
吸入ステロイド(ICS)
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル:キュバール
フルチカゾンプロピオン酸エステル:フルタイド
ブデゾニド:パルミコート
シクレソニド:オルベスコ
モメタゾンフランカルボン酸エステル:アズマネックス
フルチカゾンフランカルボン酸エステル:アニュイティ
吸入ステロイド・β2刺激薬配合剤(ICS・LABA)*COPDにも適応を持つものがある
サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル配合:アドエア*
ブデゾニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合:シムビコート*
フルチカゾンプロピオン酸エステル・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合:フルティフォーム
フルチカゾンフランカルボン酸エステル・ビランテロールトリフェニル酢酸塩:レルベア*
インダカテロール酢酸塩・モメタゾンフタンカルボン酸エステル配合:アテキュラ
アドエアは規格・剤形により適応が異なり、250ディスカスと125エアゾールのみ気管支喘息だけでなくCOPDにも適応がある。
また、レルベアも規格により適応が異なり、100エリプタは喘息とCOPD両方に適応があるが、200エリプタと小児用50エリプタには喘息の適応しかない。
シムビコートをCOPDに使用する場合、4吸入(朝2吸. 入・夜2吸入)
吸入ステロイド・抗コリン薬・β2刺激薬配合剤 ICS・LAMA・LABA *COPDにも適応を持つものがある
フルチカゾンフランカルボン酸エステル・ビランテロールトリニル酢酸塩・ウメクリジニウム臭化物配合:テリルジー
*
ブデゾニド・グリコピロニウム臭化物・ホルモテロールフマル酸塩水和物配合:ビレーズトリ*
インダカテロール酢酸塩・グリコピロニウム臭化物・モメタゾンフランカルボン酸エステル配合:エナジア
血液成分製剤
ヒスタミン加入免疫グロブリン:ビスタグロビン