臨床領域では臨床領域には障害を持つ人や患者を対象とした尺度が含まれ、「痛み」等の症状そのものに対するコーピングや、障害や疾患があることによって生じる生活上の問題へのコーピング測定することを目的としたものが多いのが特徴です。
一般領域では被験者の属性に依存しないコーピングのメカニズムの解明を目的とした研究が多いのが特徴です。ここでストレスコーピングの方法や力を測定する質問紙を例にあげると、比較的一般的なものにTAC-24があります。
この質問紙は先述した対処ストレスに対して積極的か回避的かと、焦点による対処問題焦点型か情動焦点型か、方法はどうするか認知的か行動的かを組み合わせて作られた3次元のストレスコーピング尺度です。
他にもストレスコーピング能力や方法を測るテストはいくつかありますが、ストレスコーピングを測ることはストレス反応を決定する上で重要な要因となり、先ほどのようにその結果生まれたストレスが心理面や、身体面、行動面に影響を与えます。が、以下心理面と、生理的な面について述べたいと思います。
ストレスコーピングが心理面に及ぼす影響としてコーピングが心理的反応に与える影響として 問題を解決する、計画を立てる、情報を収集するなどといった、ストレッサーの解決に焦点をあてたコーピングは、不安や、抑うつといった心理的なストレッサーの緩和する作用があるということ、また情動に焦点をあてたコーピングの中でも肯定的に物事を捉えようとする良い方向に解釈しようとするなどといった肯定的な解釈は、不安感情を低減することが明らかにされています。
生理的側面に及ぼす影響としては統制感の高い状況で精力的に接近的・問題解決的コーピングを行う事は、自律神経-副腎皮質系の内分泌活動を活性化することや、心臓血管系の反応を亢進するつまりHPA軸を介した神経系の賦活化が起こり、コルチゾールなどの分泌が高まること、またSAM軸が賦活化されることで、結果自律神経系の交感神経系が優位になり血圧の上昇、心拍数の上昇が起こるといったことです。
また脅威性が高く統制間の低い状況で回避的・受動的コーピングを行う事は、下垂体-副腎皮質系の内分泌活動を活性化するといわれており HPA軸の賦活化が起こります。またコーピングには経時的にその方法、力は変化すると考えられており、テストを例にした研究ではテスト前とテスト後でコーピングの力、方法が変化していることが報告されています
。
コーピングの効果という側面からみて、心理的な負担を減らすことを目的としたものである緩衝効果と身体的な負担を減らすことを目的としたものである直接効果の2種類があるとされており
焦点にもとずくものとの関係では問題焦点的解決は心理的負担は下げるが、身体的負荷は上がるということが分かっています。
コーピングの組み合わせはいろいろなものがあり、2つの組み合わせを2次元的、3つでは3次元的といわれています。 以上ストレスコーピングを中心に、現在までに明らかになっていることを述べました。
今後の理解につながればと思います。