精神分析的家族療法/システム論的家族療法

精神分析的家族療法/システム論的家族療法

精神分析的家族療法
ボーエン、M Bowen,Murray(1913-)学派における病理の発生と解決 個人が家族から分化しているか、融合しているかを問題とし 個別化が不十分で家族集団に融合してしまっている個人は不安をかかえるとした 両親が不安をかかえていれば、母子間の融合は強化され、世代間の伝達を起こし子供も不安を抱えるとした。
ボーエン派の家族療法においては個人の問題を解決するために家族からの個別化と自立性が必要であるとされている 自己分化(ボーエンが重要視した概念で自己を周囲に開きながらなおかつ自分らしさを保っている状態である この自己分化度が高いと不安定が高まっても、知性、情緒が独立して機能し適切なふるまいを行う事が出来る 他方、自己分化度が低い人は知性、情緒が独立せず混乱した反応をとり易いとされる 自己分化度の低い人は周りに対して適切な行動をとることができずそれが子供を巻き込んだりして子供の自己分化度の低さに繋がるとされる)度をジェノグラム(家族世代図)を用い家族的無意識を意識にのぼらせ分析した ボーエン、Mは統合失調症の患者の家族を全員入院させたり、自分の家系、家族と自分のパーソナリティとの関連を調べたりといった倫理的に現代では不可能であろう革新的な研究を行った。
またボーエンの家族療法は精神分析の理論をその基盤としており他の学派と異なった独自の体系を持つ理論であるためにその習得には10年を要すると言われている。 精神分析の理論を基盤としているためにどうしてもシステムより個人に視点が偏りがちであったと言われている
システム論的家族療法
1960年代に発展した 他の学問領域で取り入れられていた一般システム論(理論生物学者フォン・ベルタランティが提唱、ベイトソンによって家族心理学に紹介された)の考えを踏襲し家族を「システム」として捉えた 一般的なクライエントはIP(identified patient)と呼ばれる システムとして捉える考え方はボーエンと同じであるがシステムの問題に焦点をより当てた療法と言える システム論的家族療法においては家族全体のメインシステムと夫婦、親子関係のサブシステムに分類した さらにサブシステムをリジッド(rigid:厳格な)、ノーマル(normal:柔軟)、ディヒューズド(defused:混乱・曖昧)に分類システムと個人との関連を考え結果的に個人を治癒するというよりもシステムそのものを治すという考え方である現在の家族療法の基本の3本柱である「歴史的視点」「いま・ここでのコミュニケーションの視点」「生態学的視点」を提唱した 問題が起こるのはリジッド(rigid:厳格な)場合、ディヒューズド(defused:混乱・曖昧)の場合であるとされている リジッド(rigid:厳格な)場合家族間のコミュニケーションが厳しすぎて家族間のコミュニケーション障害が、ディヒューズド(defused:混乱・曖昧)の場合も境界線が曖昧であり家族コミュニケーションに問題を起こすとされているまた問題と結果を直線的に取り上げずに家族という中で円環的に生じたものであると考える