抗菌薬
注意点
WHOはAMRに対して注意喚起を行っている。
抗生剤のAMR(Antimicrobial Resistance)とは、抗生剤が効きにくくなる、または効かなくなることを指す。
抗生剤は感染症の治療や予防に広く使用されるが、不適切な使用によって薬剤耐性菌が増殖し、抗生剤が効かなくなることがある。
AMRの拡大を防ぐには、抗生剤を適切に使用することが重要。
抗菌薬は「十分量をできるだけ短期間」で投与する事が重要。
熱が下がらない、CRPが陰性(CRP値が基準値以下)にならないのに抗菌薬を漫然と使用している場合には注意する。
バンコマイシン使用にあたっては初期からAUC等に考慮する。
抗菌薬の有害作用(特にミノサイクリン)、併用(特にマクロライド系)に注意する。
薬剤
抗菌薬は病原体に殺菌的、または静粛的に作用する薬剤であり、その作用気序から以下の様に分類される。
作用機序による分類、各薬剤の成分名と主な商品名
A、細胞壁合成阻害薬
A-1、Βラクタム系
ペニシリン系薬
ベンジルペニシリンカリウム:注射用ペニシリンGカリウム
ベンジルペニシリンベンザチン水和物:バイシリンG、ステイルズ
広域ぺニシン系薬
アンピシリン:ビクシリン
バカンピシリン塩酸塩:ペングッド
アモキシシリン水和物:サワシリン、アモキシシリン、ワイドシリン
スルタミシリントシル酸水和物:ユナシン
ピペラシリンナトリウム:ペントシリン
複合ペニシリン系薬
アンピシリン・クロキサシン配合:ビクシリンS
β-ラクタマーゼ阻害薬配合剤
アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム配合:ユナシンS
アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム配合:オーグメンチン
アモキシシリン・クラブラン酸カリウム配合:クラバモックス
タゾバクタム・ピペラシリン水和物配合:ゾシン、タゾピペ
タゾバクタムナトリウム・セフトロザン硫酸塩配合:ザバクサ
セフォペラゾンナトリウム・スルバクタムナトリウム配合:スルペラゾン、ワイスタール
セフェム系(第1、2、3、4世代)
セファロチンナトリウム:コアキシン
セファゾリンナトリウム:セファメジンα、セファゾリンNa
セフォチアム塩酸塩:パンスポリン
セフメタゾールナトリウム:セフメタゾン、セフメタゾールナトリウム、セフメタゾールNa「NP」
セフミノクスナトリウム水和物:メイセリン
フロモキセフナトリウム:フルマリン
セフォタキシムナトリウム:クラフォラン、セフォタックス
セフメトキシム水和物:ベストコール
セフトリアキソンナトリウム水和物:ロセフィン
セフォタジジム水和物:セフタジジム
ラタモキセフナトリウム:シオマリン
セフォゾプラン塩酸塩:ファーストシン
セフェピム塩酸塩水和物:セフェピム塩酸塩
セファレキシン:ケフレックス、ラリキシン、セファレキシン
セファレキシン顆粒:L-ケフレックス
セフロキサジン水和物:オラスポア
セファクロル:ケフラール
セファクロル複合顆粒:L-ケフラール
セフロキシムアセチル:オラセフ
セフテラムピボキシル:トミロン
セジポドキシムフロキセチル:バナン
セフカペンピボキシル塩酸塩水和物:フロモックス
セジチゾキシムナトリウム:エポセリン
カルバペネム系薬
イミペネム・シラスタチンナトリウム配合:チエナム、チエクール
パニペネム・ベタミプロン配合:カルベニン
メロペネム水和物:メロペン、メロペネム
ビアペネム:オメガシン
ドリペネム水和物:フィニバックス
レレバクタム水和物・イミペネム水和物・シラスタチンナトリウム配合:レカルブリオ
チピペネム・ピボキシル:オラペネム
モノバクタム系薬
アズトレオナム:アザクタム
経口用ペネム系薬
ファロペネムナトリウム水和物:ファロム
A-2、グリコペプチド系薬
バンコマイシン塩酸塩:塩酸バンコマイシン、バンコマイシン塩酸塩
テイコプラミン:タゴシッド、テイコプラミン
A-3、ホスホマイシン系
ホスホマイシンカルシウム水和物:ホスミシン、ホスホマイシンカルシウム「日医工」
ホスホマイシンナトリウム:ホスミシンS
B.蛋白合成阻害薬
B-1、アミノグリコシド系薬
ストレプトマイシン硫酸塩:硫酸ストレプトマイシン「明治」
カナマイシン硫酸塩:カナマイシン、硫酸カナマイシン
ゲンタマイシン硫酸塩:ゲンタシン
トブラマイシン:トブラシン、トービイ
ジベカシン硫酸塩:パニマイシン
アミカシン硫酸塩:アミカシン硫酸塩「日医工」、アリケイス
イセパマイシン硫酸塩:エクサシン
フラジオマイシン硫酸塩:ソフラチュール
スペクチノマイシン塩酸塩水和物:トロビシン
アルベカシン硫酸塩:ハベカシン
B-2、マクロライド系薬
エリスロマイシンエチルコハク酸エステル:エリスロシン
エリスロマイシン:エリスロマイシン「サワイ」
クラリスロマイシン:クラリス、クラリシッド、クラリスロマイシン「大正」
ロキシスロマイシン:ルリッド
アジスロマイシン水和物:ジスロマック、アジスロマイシン
ジョサマイシン:ジョサマイシン、ジョサマイ
スピラマイシン酢酸エステル:アセチルスピラマイシン
スピラマイシン:スピラマイシン「サノフィ」
フィダキソマイシン:ダフクリア
B-3、テトラサイクリン系薬
テトラサイクリン塩酸塩:アクロマイシン
オキシテトラサイクリン塩酸塩・ポリミキシンB硫酸塩配合:テラマイシン
デメチルクロルテトラサイクリン塩酸塩:レダマイシン
ドキシサイクリン塩酸塩水和物:ビブラマイシン
ミノサイクリン塩酸塩:ミノマイシン、ミノサイクリン塩酸塩
チゲサイクリン:タイガシル
B-4、リンコマイシン系
リンコマイシン塩酸塩水和物:リンコシン
クリンダマイシン:ダラシン、ダラシンS、クリンダマイシン
B-5、オキサゾリジン系
リネゾリド:ザイボックス
チジゾリドリン酸エステル:シベクトロ
B-6、クロラムフェニコール系薬
クロラムフェニコール:クロロマイセチン、クロマイ
クロラムフェニコール・フラジオマイシン硫酸塩配合:クロマイ-P
クロラムフェニコールコハク酸エステルナトリウム:クロロマイセチンサクシネート
C、DNA-RNA合成阻害薬
C-1,ニューキノロン薬
ノルフロキサシン:バクシダール
オフロキサシン:タリビット
レボフロキサシン水和物:クラビット、レボフロキサシン「DSEP」、レボフロキサシン
シプロフロキサシン:シプロキサン、シプロフロキサシン
ロメフロキサシン塩酸塩:バレオン
トスフロキサシントシル酸塩水和物:オゼックス、トスキサシン、トスフロキサシン酸塩「明治」
パズフロキサシンメシル酸塩:パシル、パズクロス
プルリフロキサシン:スオード
モキシフロキサシン:アベロックス
メシル酸ガレノキサシン水和物:ジェニナック
シタフロキサシン水和物:グレースピット
ラスクフロキサシン塩酸塩:ラスピック
D、配合剤
ST合剤:バクタ、バクトラミン、ダイフェン
E、細胞膜障害薬
E-1,ポリペプチド系薬
コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム:オルドレブ、コリマイシン、メタコリマイシン
ポリミキシンB硫酸塩:硫酸ポリミキシンB
バシトラシン・フラジオマイシン硫酸塩配合:バラマイシン
E-2、リボペプチド系薬
ダプトマイシン:キュビシン
F、その他
F-1、抗嫌気性菌薬
メトロニダゾール:アネメトロ
F-2、抗結核薬
イソニアジド:イスコチン
イソニアジドメタンスルホン酸ナトリウム:ネオイスコチン
パラアミノサリチル酸カルシウム水和物:ニッパスカルシウム
アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム水和物:アルミノニッパスカルシウム
ピラジナミド:ピラマイド
エタンブトール塩酸塩:エサンブトール、エブトール
リファンピシン:リファジン
リファブチン:ミコブティン
エンビオマイシン硫酸塩:ツベラクチン
エチオナミド:ツベルミン
サイクロセリン:サイクロセリン
デラマニド:デルディバ
ベダキリンフマル酸塩:サチュロ
F-3,尿路消毒薬
ヘキサミン:ヘキサミン「ニッシン」
F-4,フジジン酸
フシジン酸ナトリウム:フシジンレオ
副作用
まれに発疹、発熱、アナフィラキシーショックなど、アレルギー様の症状がみられる。
抗菌薬略語表も参照してください