第1章心理学とは

第1章 心理学とは

心理学は英語で”psychology"といいます。その語源はギリシャ語の”psyche"(心)と”logos"(学)にあります。人間の喜怒哀楽が本人が感じたままに報告できます。その意識を心と考えるとそれはその本人にしか分からない事でありそこの焦点を合わせるのが内観法と呼ばれるものです。
しかしそれには多くの欠点があり、
1、他者からは分からないため客観性に乏しい
2、意識だけでは心全体を説明できない(意識に上がるまでの心的過程は当然ながら意識できない)といったものです。
3、意識を観察しようとすると観察しているという緊張が意識に影響を与えてしまう
4、幼児や障害者など相手が内観による言語報告
が不可能な場合です。
そのため、現代心理学では言語報告に加えて行動にも心の働きを見ます。
行動にはしぐさや生理的反応も含まれます。行動を対象とすることで無意識の把握も出来る事となります。
意識を見るために言語表現、行為を見ます。無意識を見るために行為、しぐさ、表情、生理的変化を見ます。

心理学の歴史
「心理学の過去は長いがその歴史は短い」
エピングハウスの言葉です。
科学としての心理学が独立したのは1879年です。心に関する哲学的思想はギリシャ時代にまでさかのぼります。
「われ思う、ゆえにわれ在り」近代哲学の父デカルトの言葉です。
意識こそ心の本質であるとした考えでした。

経験哲学は17世紀から19世紀までイギリスの哲学者達によって形成され発展しました
人間は白紙の状態で生まれ(タブラ・ラサ:tabula rasa)世界に関する全ての知識を経験から得るとした考えが経験主義です。つまり生まれ持ったものは考えになかったわけです。
その後、自然科学者による研究が大きな功績を残します。

例えば、
生理学者でありまた物理学者であった科学者ヘルムホルツは、色覚に関する3色説、聴覚に関する共鳴説を唱え、人間の知覚が生理学的なもので説明できるという面で大きなインパクトを与えました。
また、物理学者のフェヒナーは精神世界属する感覚と物理的世界に属する刺激との関係を解明する領域として、精神物理学を提唱しました。
ではいよいよ心理学の独立についてです。

心理学独立は上述の様に1879年です。
当時、医学博士であったヴントが生理学から心理学にその研究を移しライプチヒ大学に心理学実験室を創設したのが心理学元年とされています。
ヴントの心理学は意識、要素、構成主義を特徴とします。しかしその後ヴントの心理学も下火を迎えます。それは様々な批判が起こったからです
20世紀に入って、精神分析学(フロイト等)、ゲシュタルト心理学(ウェルトハイマー等)、行動主義(ワトソン等)の3学派が生まれました。
その後認知心理学が台頭し、行動主義の役割は影を薄めていきました。
認知とは認識の意味で知覚、記憶、思考も含まれます。
ちょうど、その当時のコンピューター科学の発展によって心的過程も情報処理のように例えられ始めました。