第11章知覚

第11章 知覚

風景を捉える場合、私たちはどのようにしているのでしょうか?
例えば視野の中に建物があったとします。しかしそれを屋根、柱、窓といった様にとらえないのは、ひとまとまりの形として対象物を捉えているからです。
それをパターン認識と言います。そしてこの場合屋根、柱、窓それぞれは、私たちが知覚した線の成り立ちから判断し最終的にそれが「家」である
との判断を下します。
これを細部から全体を組み立てる意味でボトムアップ処理と呼んでいます。
ボトムアップとは心理学の分野のみならず他の分野でも使われる言葉です。反対に「家」を最初に捉える、そして、屋根、窓、柱、を識別する。これをトップダウン処理と呼んでいます。
知覚する上で私たちは実物の物理的な量をそのままとらえているわけではありません。
そのため錯覚が起こるわけです。つまり外界を自分のフィルターを通して認識しているわけです。
また聴覚のところでも述べましたが、左右の眼の微妙なずれを利用して外界を3次元のものとして捉える事ができます。
これを両眼視差と言います。外界の動きを捉える働きとしては例えばネオンの文字などあたかも動いているかのように感じますが、これは数十の点がついたり消えたりすることで、あたかも動いているように見えるわけです。
これを仮現運動と呼んでいます。その他、動きの知覚に関するものでは誘導運動、自動運動、運動残効があります。
そして、対象とする物質をありのままとらえていない働きとして、恒常性が知覚にも働いていることが解っています。
例えば、自分に近づいてくる人、物につおて考えてみると、眼にはものが大きくなっていっているはずですが人が大きくなったりとは考えません。
これは大きさの恒常性と呼ばれるものです。そのた対象物を見るとき動きが加わる限り常に眼には形は変化して映るはずですが形が変化しているとはまず考えません。これを形の恒常性と呼びます
その他、色の恒常性、明るさの恒常性があります。