泌尿器・生殖器用剤

泌尿器・生殖器用剤

病態と薬物

泌尿器系、生殖器系の障害として尿路結石、排尿障害、前立腺肥大、前立腺癌、勃起不全障害などがあげられる。

https://www.bph-chiryo.jp/treatment/drug-therapy.html

尿路結石

α1遮断薬が用いられる。再発予防にはアルカリ化薬であるクエン酸塩:ウラリットに加え利尿剤がもちいられる。

排尿障害

閉塞症状により、尿が出にくい、切迫感などの症状がある。

IPSS(前立腺肥大症や前立腺癌の症状を評価する質問票)では軽症、中等度、重症にわけられている。

男女問わず、排尿障害の第一選択薬はα1遮断薬である。

膀胱の出口を狭くする働きを弱めることで、前立腺肥大症による症状を軽減。

PDE-5阻害作用を持つ薬剤は前立腺や尿道の筋肉を緩めることで、尿の通りをよくする。

前立腺や尿道の筋肉(平滑筋)細胞の中にある環状グアノシン―リン酸(cGMP)は、平滑筋を緩め尿を通りやすい状態にする。

漢方薬は牛車腎気丸が効果をしめす。

過活動膀胱

尿意切迫、切迫性失禁、頻尿などである。

β3作動薬(膀胱を広げ尿道を縮めることで、尿を蓄えやすくする)、抗コリン薬(自律神経系の副交感神経の作動を抑制する)がもちいられる。

α1遮断薬との併用も有効である。

夜間頻尿

夜間多尿の場合、就寝中に3回以上の排尿がある。

心不全、糖尿病、腎臓病、尿崩症などが原因となりうる。

夜間頻尿には経口デスモプレシン(ミニリンメルト)が効果をしめす。

多尿ではない夜間頻尿にはβ3作動薬抗コリン薬がもちいられる。

前立腺肥大

5α還元酵素阻害薬は抗アンドロゲン効果があり、前立腺を縮小させる(デュタステリド)。

α1遮断薬、PDE-5阻害薬も併用される。

転移性前立腺癌

前立腺がん細胞の増殖を抑制する方法としては、

1、精巣あるいは副腎からの男性ホルモンの分泌を抑える方法

2、前立腺細胞内において男性ホルモンの作用発現を抑える方法

がある。

1、LH-RHアゴニスト・アンタゴニストや、女性ホルモン剤、一部のARSIがある。

2、アンドロゲン受容体活性を抑制する薬剤やアンドロゲン受容体拮抗薬を用いる。

PSAの値が前立腺がんのバイオ・マーカーでありその標準値は~4が安全閾、4~10が前立腺がんを疑う。

PSAの値は前立腺がん以外に前立腺肥大、前立腺の炎症によってもその値は上昇するためその判別が必要になってくる。

判別の手段のとして生検(組織を採取して行う)やMRIなどがある、10以上はかなり前立腺がんの疑いが高いと言える。

注意点

α遮断薬は女性にも使用される。

脳内移行しやすい抗コリン薬は認知症リスクに注意する。

薬剤の成分名、商品名

結石排出促進薬

ウラジロガンエキス:ウロカルン

酸性尿改善薬

クエン酸K・クエン酸Na配合:ウラリットU、ウラリット

1、頻尿、過活動膀胱治療薬

1-1(抗コリン薬、選択的ムスカリン受容体拮抗薬)

フラボキサート塩酸塩:ブラダロン

トルテロジン酒石酸塩:デトルシトール

フェソテロジンフマル酸塩:トビエース

コハク酸ソリフェナジン:ベシケア、ソリフェナジンコハク酸塩「日医工」

イミダフェナシン:ウリトス、ステーブラ、イミダフェナシン

1-2、頻尿、過活動膀胱治療薬(抗コリン薬+Ca拮抗薬)

オキシブチニン塩酸塩:ポラキス、ネオキシ

プロピベリン塩酸塩:バップフォー

1-3、頻尿、過活動膀胱治療薬(β3受容体作動薬)

ミラベグロン:ベタニス

ビベグロン:ベオーバ

2、排尿障害治療薬(α1遮断薬)

タムスロシン塩酸塩:ハルナール、タムスロシン塩酸塩

ナフトピジル:フリバス

シロドシン:ユリーフ

プラゾシン塩酸塩:ミニプレス

3、排尿障害治療薬(抗アンドロゲン薬)

クロルマジノン酢酸エチル:プロスタール

クロルマジノン酢酸エステル徐放剤:プロスタールL

ゲストノロンカプロン酸エステル:デポスタット

デュタステリド:アボルブ、デュタステリドAV「武田テバ」、デュタステリドAV

4、排尿障害治療薬(その他)

タダラフィル:ザルティア、タダラフィルZA「シオエ」、タダラフィルZA*PDE阻害薬

タダラフィルは、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療で、尿道や前立腺の平滑筋が弛緩し、血流と酸素供給が増加することで、排尿障害の症状が緩和される。

セルニチンポーエンエキス:セルニルトン、エビプロスタット

膀胱出血治療薬

メスナ:ウロミテキサン

間質性膀胱炎治療薬

ジメチルスルホキシド:ジムソ

勃起不全治療薬PDE-5阻害薬

勃起不全にはバイアグラ、レビトラ、シアリスが用いられる。

しかし、心疾患のある患者などにおいて他の硝酸薬との併用は過度の血管拡張を招き血圧低下など危険な状態を招くので注意するべきである。

シルデナフィルクエン酸塩:バイアグラ

バルフェナフィル塩酸塩水和物:バルデナフィル

タダラフィル:シアリス

手術掃流液

D-ソルビトール:ウロマチックS