麻酔薬
麻酔薬の分類
麻酔薬には歯科領域などで使用する局所の感覚のみを遮断する局所麻酔と、手術などで使用する意識を消失させる全身麻酔とが存在する。
実際の使用にあたっては全身麻酔のみを使用する場合、局所のみを対象とする局所麻酔を併用する事もある。
局所麻酔
局所麻酔薬の主な作用機序はNa+イオンチャネルを可逆的にblockすることでありその結果、神経細胞におけるNa+の流入が阻止され細胞の活動電位が生じなくなる 。
局所麻酔はその働き、目的から5つに大別される。
皮膚や粘膜など、組織表面の感覚を抑える目的で使用される表面麻酔、手術部位の皮内、皮下、粘膜下に用い歯科領域において抜歯などの疼痛緩和を目的とした浸潤麻酔、脊髄からの神経に直接投与し、そこから影響を与える部位全てを麻痺させる比較的大きな手術などの際に使用される伝達麻痺、脊髄のくも膜下腔に麻酔をかけ下半身を麻痺させる硬膜外麻酔に大別される。
産婦人科領域などで使用される 脊椎麻酔 脊椎からの神経に麻酔をかけ、上腕、頸部、胸部、後頭部などを麻痺させる硬膜外麻酔がある。
全身麻酔薬
意識の消失、すべての感覚を麻痺させる 。
その認知、記憶もできない。そのような目的で使用される。
全身麻酔使用の4つの目的は、鎮静(意識消失)、鎮痛、筋弛緩、有害反射除去とされている。
全身麻酔の投与経は大きく分けて2つあり吸入による投与経路と、静脈を介した投与経路がある。
吸入麻酔はその鎮静効果に優れており、その他の3つの作用もカバーできる投与経路とされている 。
しかし完全に4つの目的をカバーすることは困難であるため 吸入単剤で用いられることは少なく、他剤との併用によって使用される。
薬剤の成分名と商品名
1、局所麻酔薬
リドカイン塩酸塩:キシロカイン
リドカイン・プロピトカイン配合:エムラ
メピバカイン塩酸塩:カルボカイン
ブピバカイン塩酸塩水和物:マーカイン
レボブピバカイン塩酸塩:ポイプスカイン
ロピバカイン塩酸塩水和物:アナペイン
プロカイン塩酸塩:塩酸プロカイン「ニッシン」、ロカイン、プロカイン塩酸塩「日医工」
ジブカイン塩酸塩配合:ネオビタカイン
テトラカイン塩酸塩:テトカイン
パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩:テーカイン
オキセサゼイン:ストロカイン
2、全身麻酔薬
2-1、亜酸化窒素
亜酸化窒素:液化亜酸化窒素、笑気
2-2、ハロゲン化吸入用麻酔
セボフルラン:セボフレン、セボフルラン「ニッコー」
イソフルラン:イソフルラン「VTRS」
デスフルラン:スープレン
2-3、麻薬性鎮静薬
レミフェンタニル塩酸塩:アルチバ
2-4、プロボフォール
プロボフォール:ディプリバン、プロボフォール
2-5、バルビツール酸系
チアミラールナトリウム:イソゾール、チトゾール
チオペンタールナトリウム:ラボナール
2-6、ベンゾジアゼピン系
ミダゾラム:ドルミカム
レミマゾラムベシル酸塩:アネレム
2-7、フェンサイクリジン系
ケタミン塩酸塩:ケタラール
2-8、ブチロフェノン系
ドロペリドール:ドロレプタン
3、鎮静薬
3-1、中枢性α2アドレナリン受容体作動薬
デクスメデトミジン塩酸塩:プレセデックス
3-2、ベラドンナアルカロイド
スコポラミン臭化水素酸塩水和物:ハイスコ