眼科用剤
薬剤投与法は点眼、眼軟膏塗布、結膜下注射、テノン嚢内注射、球後注射、眼内注射などがある。
1、疾患別点眼薬の正しい使い方
アレルギー性結膜炎
アレルギー反応によって目の結膜が炎症を起こす病気で、目のかゆみ、充血、涙目、目やに、視力の低下などの症状。
抗アレルギー作用を持つ点眼を使用する。
効果が不十分の場合、低濃度のステロイド点眼、眼軟膏に切り替える。
細菌感染が疑われる場合は抗菌作用を持つ点眼薬も使用する。
ドライアイ
ジクアス、ムコスタが汎用される。人口涙液のヒアレイン、ソフトサンティアなども使用される。
眼精疲労
長時間に及ぶディスプレイ、スマートフォンの使用によって起こり易い。調節機能の衰弱にはサンコバがドライアイにはヒアレイン、ジクアス、ムコスタが用いられる。
白内障
眼の中の水晶体が濁って視力が低下する病気。
水晶体繊維の細胞壁の変性防止にはピレノキシン(カタリン)が用いられる。
緑内障
緑内障は眼圧(眼球内部の圧力)が高くなってしまうことで視神経にダメージが加わり、視野が狭くなることなどにより目が見えづらくなる病気。
眼圧を上昇させる主な要因として眼球を満たしている房水(眼房水)があり、なんらかの理由でこの房水の排出(流出)が滞ったり房水産生が過剰になると、眼圧が上昇しやすくなる。
使用頻度が高いのは、FP受容体作動薬、EP2作動薬、交感神経β遮断薬、点眼用炭酸脱水素酵素阻害薬、交感神経α2刺激薬、ROCK阻害薬であり、いずれも眼圧低下を目的とする。
剤形別の正しい使用法(点眼薬を中心に)
点眼薬についてはその使い方で本来の作用発現が異なる。
点眼薬の場合
最初に指手の洗っておく。
溶器の先が眼、まつ毛に触れないようにする。
点眼した後は数分間眼を静かに抑えておくと効果的である。
コンタクトレンズは点眼時には外す。点眼後10分以上あけて装着する。
2種以上の点眼液を使用する場合は5分間の間隔をあける。
一般的に水溶性点眼薬→懸濁性点眼薬→ゲル化点眼薬→油性点眼薬の順序で点眼する。
溶器は直射日光や高温を避けて保存する。
人口涙液を除きコンタクトレンズを外して点眼を行う。10分はコンタクトレンズの装着を避ける。
その他、特別に保存に対する指示がある場合はそれに従う。
点眼薬には最初から溶解されているものの他、薬剤と溶解剤に分かれていて使用時に混合するものや、軟膏を眼に塗布する眼軟膏がある。
それぞれ使用にあたっては注意する。
薬剤
A、網膜疾患治療薬
ベルテポルフィン:ビスダイン
ラニビズマブ:ルセンティス
アフリベルセプト:アイリーア
ブロルシズマブ:ベオビュ
ファシリマブ:バビースモ
ボレチゲンネバルボベク:ルクスターナ
ヘレニエン:アダプチノール
B、角膜治療薬
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム:アイドロイチン
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム配合:ムコファジン
精製ヒアルロン酸ナトリウム:ヒアレイン
人口涙液マイティア
C、ドライアイ改善薬
ジクアホソルナトリウム:ジクアス
レバミピド:ムコスタ、レバミピド「参天」
血管収縮薬
ナファゾリン硝酸塩:プリビナ
D、副腎皮質ステロイド
デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム:サンテゾーン、ビジュアリン、デキサメタゾン「ニットー」
プレドニゾロン酢酸エステル:プレドニン
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム:リンデロン
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム・フラジオマイシン硫酸塩配合:リンデロンA
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム:オルガドロン
メチルプレドニゾロン・フラジオマイシン硫酸塩配合:ネオメドロールEE
フルオロメトロン:フルメトロン、フルオロメトロン
E、非ステロイド系抗炎症薬
アズレンスルホン酸ナトリウム水和物:AZ
プラノプロフェン:ニフラン
ジクロフェナクナトリウム:ジクロード
ジクロフェナクナトリウム:ブロナック
ネパフェネク:ネバナック
F、緑内障治療薬
F-1、FP受容体作動薬
ラタノプロスト:キサラタン
タフルプロスト:タプロス
トラポプロスト:トラバタンズ
ビマトプロスト:ルミガン
F-2、EP2受容体作動薬
オミデネパグイソプロピル:エイベリス
F-3、β遮断薬
チモロールマレイン酸塩:チモプトール
チモロールマレイン酸塩持続性製剤:チモプトールXE、リズモンTG
カルテオロール塩酸塩:ミケラン、ミケランLA
ニプラジロール:ハイパジール、ニプラノール
ベタキソロール塩酸塩:ベタキソロール「SW」
レボブノロール塩酸塩:レボブノロール塩酸塩
F-4、炭酸脱水素阻害薬
ブリンゾラミド:エイゾプト、プリンゾラミド「サンド」
ドルゾラミド塩酸塩:トルソプト
緑内障治療薬(α2刺激薬)
プリモニジン酒石酸塩:アイファガン
アプロクロニジン塩酸塩:アイオビジンUD
F-5、ROCK阻害薬
リパスジル塩酸塩水和物:グラナテック
F-6、副交感神経刺激薬
ピロカルピン塩酸塩:サンピロ
ジスチグミン臭化物:ウブレチド
F-7、α1遮断薬
ブナゾシン塩酸塩:デタントール
F-8、イオンチャネル開口薬
イソプロピルウノプロストン:レスキュラ
F-9、配合剤
FP受容体作動薬+β遮断薬配合
カルテオロール塩酸塩・ラタノプロスト配合:ミケルナ
ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合:ザラカム
タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩配合:タプコム
トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩配合:デュオトラバ
ドルゾラミド塩酸塩・チモロールマレイン酸塩配合:コソプト
ブリンゾラミド・チモロールマレイン酸塩配合:アゾルガ
β遮断薬+α1刺激薬:アイベータ
α1刺激薬+炭酸脱水素阻害薬配合:アイラミド
α1刺激薬+ROCK阻害薬配合:グラアルファ
G、抗菌薬
クロラムフェニコール「ニットー」
ゲンタマイシン硫酸塩:ゲンタマイシン「日点」
トブラマイシン:トブラシン
ジベカシン硫酸塩:パニマイシン
コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム配合:エコリシン、オフサロン
バンコマイシン塩酸塩:バンコマイシン
ノルフロキサシン:バクシダール、ノフロ
オフロキサシン:タリビット、オフロキサシン
レボフロキサシン水和物:クラビット
ロメフロキサシン塩酸塩:ロメフロン
ガチフロキサシン水和物:ガチフロ
トスフロキサシントシル酸塩水和物:オゼックス、トスフロ
モキシフロキサシン塩酸塩:ベガモックス、モキシフロキサシン「サン」
セフメノキシム塩酸塩:ベストロン
アジスロマイシン水和物:アジマイシン
抗ウイルス薬
アイクロビル:ゾビラックス
抗真菌薬
ピマリシン:ピマリシン
H、抗アレルギー薬
クロモグリグ酸Na:クロモグリグ酸Na
ケトフェチンフマル酸塩:ザジテン
ペミロラストカリウム:アレギサール、ペミラストン
トラニラスト:リザベン、トラメラス
イブジラスト:ケタス
アシタザノラスト水和物:ゼベリン
レボカルバスチン塩酸塩:リボスチン
オロパタジン塩酸塩:パタノール、オロパタジン「サンド」
エピナスチン塩酸塩:アレジオン
眼内流液
オキシグルタチオン:ビーエスエスプラス、オキシグルタチオン「センジュ」
ブドウ糖配合:オペガードMA
粘弾性物質
精製ヒアルロン酸ナトリウム・コンドロイチン硫酸エステルナトリウム配合
ディスコビスク、ビスコート
緑内障手術補助薬
マイトマイシンC:マイトマイシン
蛍光眼低造影剤:フルオレセイン:フルオレサイト
インドシアニングリーン:オフサグリーン
消毒液
硝酸銀:硝酸銀「VTRS」
局所麻酔薬
オキシブプロカイン塩酸塩:ラクリミン、ベノキシール
調節機能改善薬
シアノコバラミン:サンコバ
ネオスチグミンメチル硫酸塩配合:ミオビン
免疫抑制薬
シクロスポリン:パピロック
タクロリムス水和物:タリムス