肝疾患治療薬

肝疾患治療薬

肝臓の働き

栄養素を体内で利用できる形に変える「代謝」、

薬やアルコール、老廃物などの有害な物質を分解して無毒化する「解毒」、

脂質の消化・吸収を助ける働きのある「胆汁の生成と分泌」、

エネルギー源であるブドウ糖をグリコーゲンとして蓄えておく「貯蔵」

血を固めるのに必要な凝固因子の産生などの役割がある。

https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada009.html

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000056/#:~:text=%E8%82%9D%E8%87%93%E3%81%AF%E8%8A%B3%E9%A6%99%E6%97%8F%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8,%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%BB%E3%81%86%E3%81%8C%E3%82%88%E3%81%84%E3%82%8F%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

肝疾患

肝臓がダメージを受けると急性肝炎→慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんへと症状が進行する。

国内の慢性肝炎、肝硬変、肝がんの原因はHCV(C型)が50%、HBV(B型)が12%と、大部分がウイルス性のものである。

慢性肝炎、肝硬変、肝がんの原因の50%を占めるC型肝炎の治療には抗ウイルス治療によるウイルス駆除が目的となる。

B型肝炎に関しては現在、完全に駆除できる治療法はない。

肝炎の沈静化、肝硬変、肝癌の抑制を目的とする。

C型肝炎治療の中心はINF(免疫系に関わるサイトカインに作用し間接的に肝炎ウイルスに作用)から、DAA製剤(直接作用型抗ウイルス薬、Direct Acting Antivirals:DAA)へと移行している。

INFが注射薬であるのに対しDAAは内服薬で簡便である。

B型肝炎の標準的な治療薬はテノホビルである。

脂肪肝の原因は肥満、糖尿病に伴う過栄養性とアルコール性のものがある。

アルコール性肝障害は肝硬変の20%を占める。アルコールの過剰摂取は短期間で肝硬変になり易い。その際、低栄養、肥満、過栄養にも注意が必要となる。

自己免疫疾患も肝炎を引き起こす。自己免疫性肝疾患はAIHと呼ばれる。PSLが主に用いられる。

肝硬変は腹水、肝性脳症、肝癌などに繋がる。C型による肝硬変ではDAA製剤が、B型では核酸アナログが用いられる。

肝硬変時のリーバクトの使用は肝癌への移行抑制が示唆されている。

肝硬変患者の血液中アミノ酸を分析すると、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)とAAA(フェニルアラニン・チロシン)の比率(フィッシャー比)が低下。

BCAAが減少しAAAが増加したアミノ酸インバランスが見られる。

BCAA(Branched Chain Amino Acid 分岐鎖アミノ酸)とは、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸総称。

この3つのアミノ酸はヒトが体内で作ることが出来ない必須アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファン)の中でも分岐鎖アミノ酸と呼ばれる。

https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/liver-cirrhosis-nutritional-therapy/nutrition-and-prognosis/

肝臓は芳香族アミノ酸も利用してタンパク質を作るが、筋肉ではBCAAしか使えない。

そうなると、肝硬変では肝臓の働きが鈍って筋肉でエネルギーを作るため、血液中のBCAAは相対的にどんどん減っていき、芳香族アミノ酸が増える。

そのため肝硬変ではBCAAを補給したほうがよいという事になる。

肝硬変時の低アルブミンでは経口BCAA製剤であるリーバクト、アミノレバン、へパンEDなどがその補正に役立つ。

肝硬変時の肝性脳症にはラクツロースが用いられる。

腹水時には減塩と利尿剤の使用を行う事が多い。

https://www.aska-pharma.co.jp/kansikkan/disease/

薬剤

インターフェロン製剤

インターフェロン製剤は、抗ウイルス作用や腫瘍増殖抑制作用、免疫調節作用などを有するインターフェロン(IFN)を主成分とする薬。

インターフェロン製剤とバビリン:レベトールとの併用は著効を示す場合が多い。

抗肝炎ウイルス薬

C型肝炎ウイルス治療薬が主体。

B型肝炎で感染細胞の増殖抑制効果を持ち、肝炎、肝硬変の進行を抑えるが完全にウイルスを排除できない。

肝機能改善薬

グリチルリチン製剤である強力ミノファーゲンC、ウルソデオキシコール酸がある。

肝庇護剤とも呼ばれる注射薬などは一過性に肝機能における標準検査値を下げる効果を持つ。

強力ミノファーゲンCには若干のNK細胞の賦活化やINFとの正の相互作用を持つことが分かってきておりHBV、HCV慢性肝炎にも効果が期待できる。

内服薬の定期的な服薬は慢性肝炎への移行 肝臓癌への移行を抑制する。

ウルソデオキシコール酸は胆石溶解、肝内での胆汁うっ滞の作用による胆石や原発性胆汁性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆肝炎、またHCVのINF使用抵抗例に効果を示す。

肝不全治療薬

肝機能の低下による高アンモニア血症や低アルブミンなどの改善を目的とする。

肝機能が低下すると体内の栄養分であるアルブミンが不足し血液中のアミノ酸バランスが崩れる。

これによりアミノ酸の中で分岐鎖アミノ酸(BCAA:バリン、ロイシン、イソロイシンの総称、分岐鎖アミノ酸)と呼ばれるものが低下する。

BCAAを主成分とする製剤(リーバクト、アミノレバン、へパンED)、グルタミン酸、グルタミン酸アルギニンなどの薬剤が効果を示す。

肝機能が低下すると、肝臓のアンモニアの解毒作用が低下し、増加した血中のアンモニアが脳に影響を及ぼし肝性脳症を発症する場合がある。肝不全用経腸栄養剤に分類される「分岐鎖アミノ酸製剤」は、アンモニアの解毒やタンパク質の合成作用を持ち、肝性脳症、血中アンモニア減少に効果がある。

また、ラクツロースは腸内におけるアンモニア産生抑制、吸収を阻害する。

漢方薬

甘草に含まれるグリチルリチン酸が肝保護作用を持つ。

肝硬変の症状を抑制するものが中心。

副腎皮質ステロイド

薬物性肝障害、劇症肝炎、重症アルコール性肝炎で用いる。ウイルス性には用いない。

薬剤

大別して1、インターフェロン製剤、2、抗HCV薬、3、抗B型肝炎ウイルス薬、4、肝機能改善薬、5、肝不全治療薬、6、金属解毒薬に分けられる。

ンターフェロン製剤

インターフェロンアルファ:スミフェロン

インターフェロンベータ:フエロン

ペグインターフェロンアルファ-2a:ベガシス

抗C型ウイルス薬(RNAポリメラーゼ阻害)

リバビリン:レベトール

抗C型ウイルス薬(配合剤)

レジバスビルアセトン付加物・ソホスブビル配合:ハーボニー

グレカブレビル水和物・ピブレンタスビル配合:マヴィレット

アオホスブビル・ベルバスビル配合:エプクルーサ

抗B型ウイルス薬

ラミブジン:ゼフィックス

エンテカビル水和物:バラクルード、エンテカビル

テノホビルジソプロキシフマル酸塩:テノゼット

テノホビルアラフェナミドフマル酸塩:ベムリティ

肝機能改善薬

グリチルリチン製剤:強力ミノファーゲンシー

タウリン:タウリン

チオブロニン:チオラ

ポリエンホスファチジルコリン:EPL

ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン:リバオール

グルタチオン:タチオン

グリチルリチン製剤:グリチロン

肝臓製剤

肝臓加水分解物:レナルチン

肝臓抽出製剤:アデラビン9号

肝免疫賦活薬

プロパゲルマニウム:セロシオン

肝不全治療薬

L-アルギニンL-グルタミン酸塩水和物:アルギメート

アミノ酸配合:アミノレバン、モリノヘパミン

分岐鎖アミノ酸製剤:リーバクト

ラクツロース:モニラック、ラクツロース「コーワ」、ラクツロース、*ラグノスゼリー

ラクチトール水和物:ポルトラック

リファキシミン:リフキシマ

肝中心静脈閉塞薬症治療薬

デフィノブロチドナトリウム:デファイテリオ

金属解毒薬

酢酸亜鉛水和物:ノベルジン