胆道疾患治療薬
胆嚢の働き
胆汁は肝臓で作られ、胆管を通って胆嚢に一時的に貯蔵される。
食事をすると胆嚢が収縮し、胆汁は総胆管を通って十二指腸に流れ込み、脂肪の消化を助ける。
https://yamashina-okada-cl.com/biliary-diarrhea/
胆汁酸の働き
脂肪の消化・吸収を助ける働き。脂肪の乳化。
老廃物の排泄を助ける働き。ビリルビンの排泄。
コレステロールの排泄。胆汁は、余分なコレステロールを体外に排出する。
病態
胆のう・胆管の病気で多いのは、胆石症、胆のう炎、胆のうポリープ。
胆石症と胆のうポリープは無症状であることが多く、超音波検査をしたときに見つかることが多い。一方で、胆のう炎は激痛、発熱を伴う。
胆のう炎の9割は胆石によって起こるといわれる。
胆石症、機能性胆道痛、胆嚢炎、胆管炎、急性、慢性肝内胆汁うっ滞症などの症状がある。
胆石症
胆石の本体はコレステロール(食物中に含まれる)。
食事の内容や細菌感染などによって胆汁に含まれる成分が凝縮され結晶化し、固まってしまうために発生する。
機能性胆道痛
胆石症や構造的異常がないにも関わらず、胆石症と同様の症状が認められる。
胆嚢からの胆汁排泄の通り道にあるOddi括約筋の運動異常によっても起こりうる。
オッディ括約筋は、交感神経と副交感神経の両方の支配を受けており、コリン作動性神経が刺激されると、オッディ括約筋が弛緩し、胆汁や膵液の十二指腸への排出が促進される。
胆嚢炎、胆管炎
胆嚢炎、胆管炎は主に腸内の細菌が消化器をさかのぼることで起こる感染症であり、そのため起こる炎症に起因する。
急性、慢性肝内胆汁うっ滞症
胆汁うっ滞は胆汁の胆嚢から腸への分泌不全に起因している。
また胆汁の成分としてビリルビンを含むので胆道系の疾患において黄疸などといった形で影響する。
薬剤
胆道系疾患治療薬はその作用機序から催胆薬と排胆薬に分類される。https://yakuzaic.com/archives/22147
催胆薬は、肝臓に作用して胆汁生成分泌を促進するもの。
排胆薬は、胆囊中より胆汁排出を促進するもの。
催胆薬
汎用されるものには2種類が挙げられる
UDCA:一般名ウルソデオキシコール酸(商品名ウルソ)。
CDCA:一般名ケノデオキシコール酸(商品名チノ)。
胆汁の分泌を促進して流れを良くし、コレステロール系胆石を溶解したり生成を抑える。
また、肝臓の血流増加作用や肝保護作用により肝機能を改善する。
脂肪吸収促進により消化不良を改善。
通常、胆道(胆管・胆のう)系疾患および胆汁うっ滞を伴う肝疾患における利胆、慢性肝疾患における肝機能の改善、小腸切除後遺症・炎症性小腸疾患における消化不良の改善、外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解、原発性胆汁性肝硬変・C型慢性肝疾患における肝機能の改善に用いられる。
UDCAは胆汁中のコレステロールを不飽和化する。
胆嚢中では、混合ミセルで可溶化しその後、結晶形性にてコレステロールを溶解する。
CDCAはコレステロール生合成を抑制する。
胆嚢中ではコレステロールを可溶化する。
排胆薬
Oddi括約筋を弛緩させることによって胆嚢からの胆汁分泌を促進する。
COMT阻害作用を持つ薬剤が使用される。
機能性胆道痛治療薬
抗Ach作用を持つスコポラミン、プトロピウム、チキジウム、プロピオン、精神安定薬、UDCAなどを用いる。
Oddi括約筋の抵抗性が強い場合は弛緩薬、抗ACh薬を用いる。
疼痛緩和にはOddi筋に影響の出ないペチジン、アトロピン製剤(オピアト)を用いる。
胆嚢炎、胆管炎
主に抗菌薬を用いる。
原因が消化器末端からのものであるため、グラム陰性桿菌や腸球菌、嫌気性菌が多い。
それに合ったスペクトルをもつ抗菌薬を用いる。
急性・慢性肝内胆汁うっ滞症
UDCAを用い抵抗性の症状には副腎皮質ステロイドを用いる。
他、フェノバルビタール、コレスチミド(コレバイン)を用いる。
薬剤
催胆薬(胆汁酸利胆薬)
ウルソデオキシコール酸:ウルソ
ケノデオキシコール酸:チノ
催胆薬(水利胆薬)
精製デヒドロコール酸:デヒドロコール酸
排胆薬
フロプロピオン:コスパノン
パパベリン塩酸塩:パパベリン塩酸塩「日医工」
トレピブトン:スパカール