心不全治療薬・昇圧薬

心不全治療薬・昇圧薬

心不全とは

心不全はひとつの病気ではなく、心臓のさまざまな病気により負担がかかった状態が最終的に至る"症候群"。

『心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気』。

心不全はひとつの病気ではなく、心臓のさまざまな病気

心筋梗塞(:心臓(心筋)が酸素不足になり壊死する病気。 心筋を取り巻いている冠動脈は心臓に血液と酸素を送っている。 これが動脈硬化で硬くなりコレステロールなどが沈着すると血液の通り道が塞がれ、心筋に血液を送ることができなくなる。 そのため心筋は酸素不足となる。)や、

弁膜症:心臓の弁に障害が起きて血液がスムーズに送れなくなる病気、

心筋症:心臓の筋肉自体に異常があり、その結果、心臓の働きを維持できなくなる病気など

により負担がかかった状態が最終的に至る"症候群"。

https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/02/

心筋収縮能低下また、心筋拡張機能が何らかの原因で生じ心筋拍出量の低下、臓器血流低下、血圧低下が認められる。

それに反応して神経体液因子の活性が生じる。

レニン―アンギオテンシン系Renin-Angiotensin System:RAS(血圧の上昇を引き起こす)の賦活化、

アルドステロン(腎においてNa+と共に水分をを体液側へと流入させる:血圧の上昇に結びつく)の賦活化。

交感神経の賦活化がおこる。

水分、Naの増加、うっ血は心臓に流入する血液の絶対量を増加させるため、心臓に入ってくる血液の処理を行う心臓の負荷は大きくなる。

この症状を心不全における前負荷の増加と呼ぶ。

交感神経系の賦活化やRASの賦活化による血圧上昇は、末梢においても生じ心臓が送り出す血流に対して負荷がかかってくる。

この症状を 後負荷といい 前述の前負荷と併せて心不全の病態の中核であると言える。

ジギタリス製剤

基本的には心不全の状態は強心力を高めることが必要なのでジギタリス製剤は心臓に作用し心拍出力を高める

その機序はNa-Ca交換機構を通し細胞内Caを増加させる(陽性変力作用)ことによる。

ただしその製剤の大部分が腎代謝型であるため、腎機能に障害がある場合は肝排泄薬であるジギトキシン:商品名ジギトキシンを用いる。また、血中濃度の推移など副作用防止に対する留意が必要である

カテコラミン製剤

急性心不全や慢性心不全に不可欠であるが、特にその適応は急性循環不全(心原性ショック、出血性ショック)などが主であり、投与も注射薬のみである。

本当に心臓が止まりそうな状態の急性期の使用が主力である。

NA前駆物質のドパミン(商品名:イノバン)またはドブタミン(商品名:ドブトレックス)は陽性変時作用、不整脈の誘発作用は少なく 急性循環不全の第一選択薬となり得る。

t1/2は極めて短い。

効果発現までの時間も短く静脈注射薬のみという事もあるが1~2分以内(効果発現までの時間が極めて短い)である。

低用量でDA受容体刺激作用発現、腎、冠動脈血流が増加、利尿作用が起こる。

中用量の場合心筋収縮力増加、心伯数増加が起こり α受容体刺激作用(自律神経薬の項参照)が現れる。

ドブタミンは強い強心作用、軽度な末梢血管拡張、陽性変時作用はない。

DA製剤と異なりDA受容体刺激作用よりもβ1刺激作用が主力となる 。

DA製剤と異なる点:末梢血管収縮作用が弱く昇圧作用は経度、心伯数増加作用が弱い、

腎血管拡張作用はない従って利尿作用は期待できない、肺動脈拡張作用を持つなど

血圧の維持が優先される場合 ドパミン>ドブタミン

虚血性心疾患 ドパミン<ドブタミンを優先的に使用する事が望ましい

β1刺激薬

心臓におけるβ1受容体を選択的に刺激し、心臓の作用を強める。

PDEⅢ阻害薬

心筋で、細胞内cAMP濃度が上昇すると心筋収縮力は増大する。

可逆性グアニル酸シクラーゼ刺激薬

cGMPを上昇させる。心筋収縮力は増大する。

その他(心不全治療薬)

AngiotensinⅡの受容体のblockerであるAT-Ⅱblocker、β-blocker、抗アルドステロン薬を用いる。

それによって過度な神経体液の活性は防がれる。

ことからこれらの薬剤も併せて用いられる。

薬剤

ジギタリス製剤

ジゴキシン:ハーフジゴキシンKY、ジゴシンKY、ジゴシン「KYO」ジゴシン

メチルジゴキシン:ラニラピッド

デスラノシド:ジギラノゲン

カテコラミン

ドパミン塩酸塩:イノバン、ドパミン塩酸塩

ドブタミン塩酸塩:ドブトレックス、ドブタミン

ドカルパミン:タナドーパ

イソプレナリン塩酸塩:プロタノール

アドレナリン:エピペン、アドレナリン「テルモ」

ノルアドレナリン:ノルアドレナリン

デノパミン:カルグート

コルホシングロパート塩酸塩:アデール

ブクラデシンナトリウム:アクトシン

フェニレフリン塩酸塩:ネオシネジン

エチレフリン塩酸塩:エホチール

ミドドリン塩酸塩:メトリジン

アメジウムメチル硫酸塩:リズミック

PDE-3阻害薬

オルプリノン塩酸塩水和物:コアテック

ミルリノン:ミルリーラ、ミルリノン

ピモベンダン:ピモベンダン「TE」

心房性Naペプチド製剤

カルペリチド:ハンプ

アンギオテンシン受容体ネブリライシン阻害薬

サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物:エンレスト

HCNチャネル阻害薬

イバブラジン塩酸塩:コララン

可逆性グアニル酸シクラーゼ刺激薬

ベルイングアト:ベリキューボ

トランスレチノイン型アミロイドーシス治療薬

タファミジスメグルミン:ビンダケル

タファミジス:ビンマック

その他

ユビデカキノン:ノイキノン、ユビデカキノン