狭心症治療薬

狭心症治療薬

病態

狭心症は、類似した病気の心筋梗塞と合わせ、虚血性心臓疾患と呼ばれる。

https://newheart.jp/glossary/detail/cardiovascular_medicine_004.php

原因のほとんどが動脈硬化ともいわれる。

動脈硬化とは血管、特に動脈の壁が厚く硬くなる状態を指す。

血管は通常、弾力性があり、しなやかであるが危険因子によって厚く硬くなる。

この変化を動脈硬化とよぶ。https://doumyaku-c.jp/knowledge/

狭心症は冠動脈が狭まった(いくらかは血流がある)状態であるのに対し、心筋梗塞は冠動脈が塞がってしまった(血流がなくなってしまった)状態。

冠動脈とは、心臓の筋肉(心筋)全体に血液を送る血管のこと。

右冠動脈:右心室や心臓の下面に血液を供給する。

左冠動脈:左心室の前壁や心臓の先端に血液を供給する。

左回旋枝:左心室側壁、後壁の一部に血液を供給する。

https://note-nurse.com/kandoumyaku/

心臓が正しく働く為には、十分な酸素を必要とする。

酸素の需要、供給のバランスを正しく保つ事が重要。

 

狭心症の分類

発作の誘因による分類

労作性狭心症:運動や階段の上り下りなど、労作を行った時に狭心痛が起きる。

安静時狭心症:安静時に狭心痛が起きる。特に明け方に起こりやすい。

 

病態の発生機序による分類

器質性狭心症

心臓の血管(冠動脈)にプラークという油の固まりが付着することにより、血管が狭くなり、心筋の血流が低下して狭心痛を引き起こすもの。
器質的狭窄の主な原因は動脈硬化であり、発作は労作時に起こりやすい。

冠攣縮性狭心症

冠動脈がれん縮(痙攣)を起こすことにより、血管が狭くなり、心筋の血流が低下して狭心痛を引き起こすもの。安静時に発作が起きることが多い。

冠血栓性狭心症

プラークという油の固まりが何らかの原因で突然破裂し、そこに血栓(血の固まり)が出来ることで冠動脈が狭くなり、心筋の血流が低下して狭心痛を引き起こすもの。

https://www.kanazawa-heart.or.jp/services/bumon_technical/yakuzai4e.html

発作時

硝酸薬の舌下投与

即効性の血管拡張作用により、狭心発作を寛解させる

舌の裏で薬を溶かすことで吸収され、即効性を示す。飲み込むと即効性はなくなる。


ニトログリセリン

ニトロペン舌下錠 発作時、1錠舌下投与。無効の時、さらに1錠投与する。

5~10分ごとに3回使用しても無効の時は直ちに医師に連絡すること。

ミオコールスプレー:発作時、1回1噴霧を舌下に投与。

5分待っても効果不十分の時は、もう1噴霧のみ追加可能。

無効の場合は直ちに医師に連絡すること。


硝酸イソソルビド

ニトロール錠

ニトロールスプレー

発作時に噛み砕いて舌下投与する。

スプレーは1回1噴霧を舌下に投与。

5分待っても効果不十分の時は、もう1錠(または1噴霧)のみ追加可能。無効の場合は直ちに医師に連絡すること。
*ニトロペンが効きにくい人に奏功する場合がある。

非発作時

血管を拡げるお薬

カルシウム拮抗薬

アダラート、アムロジン、コニール、ランデル

強い血管拡張作用をもつため、冠攣縮性狭心症の予防に有効。

ヘルベッサー、ワソラン

強い血管拡張作用をもつため、冠攣縮性狭心症の予防に有効。

また、心筋収縮力を低下させ、心筋の酸素消費量を減少させることで、労作性狭心症の発作も予防する。

https://www.kanazawa-heart.or.jp/services/bumon_technical/yakuzai4e.html

硝酸薬

アイトロール、ニトロールR、ニトロダーム、フランドル、ミリステープ

冠血管(心臓の血管)と末梢の血管(動脈・静脈)を拡張させることで、心臓にかかる負荷を軽減する。

労作性狭心症および冠攣縮性狭心症の予防に有効。

*貼り薬は前胸部、上腕部、背部のいずれかに貼付し、かぶれ防止のために毎回、貼付位置を少しずつ変えること。

ニコランジル

シグマ―ト

硝酸薬と同様、冠血管(心臓の血管)と末梢の血管(動脈・静脈)を拡張させることで、心臓にかかる負荷を軽減する。
また、心筋を保護する作用を有する。


心臓の働きを抑える薬

β(ベータ)遮断薬

セロケン、テノーミン、ハイパジール、メインテート

運動時の血圧上昇、心拍数の増加を抑制し、心筋の酸素消費量を減少させることで、発作を予防する。

*冠攣縮性狭心症では、症状を増悪させることがあるため使用しない。

αβ(アルファベータ)遮断薬

アーチスト、アロチノロール

運動時の血圧上昇、心拍数の増加を抑制し、心筋の酸素消費量を減少させることで、発作を予防する。

*冠攣縮性狭心症では、症状を増悪させることがあるため使用しない。

血液をサラサラにする薬剤

抗血小板薬

バイアスピリン、パナルジン、プラビックス、エフィエント

血管に血のかたまり(血栓)が出来るのを予防する。

ステント留置後は2種類の抗血小板薬を服用(DAPT)することが多い。

 

硝酸薬

冠状動脈の狭窄を抑制し前負荷(心臓に流れ込む側の血液負荷)を軽減したり後負荷(心臓から送り出される血液にかかる負荷)を軽減する事によって、心臓の負担を減らす。

冠状動脈を拡張させることは心臓に十分な血液、酸素を供給する事になる。

主にニトロが含まれておりNO(ニトロオキシド)の生成を高め血管細胞内のcGMP濃度を上昇させる。

上昇したcGMPはCaイオンを低下させ血管収縮を抑制する。

βブロッカー

労作性狭心症に効果を示す。

少量から開始、安静時心拍数、運動時心拍数を低下させる。

Ca拮抗薬は安静時狭心症に有効。

βブロッカー、αβブロッカーは、冠攣縮性狭心症の場合、症状を増悪させることがあるため使用しない。

Ca拮抗薬

冠動脈や全身の血管を広げる。強い血管拡張作用がある。

ベラパミル:ワソランは加えて心抑制作用を持つ。

ジルチアゼムもそれより弱いが心抑制作用を持つ。

Ca拮抗薬に加えて硝酸薬の頓服も有効である。

Ca拮抗薬の使い分け

https://www.eonet.ne.jp/~jyunkankiyakuzai/handout/3.pdf

その他

ニコランジル

冠動脈拡張作用をもつ。

ACE阻害薬

虚血性心疾患への有効性が示されている。

脂質異常症治療薬

コレステロール低下による動脈硬化病変の改善、それに伴う疾患の低下に効果がある。

抗血小板薬

狭心症や、心筋梗塞予防効果がある。

抗凝固薬

血栓形成を阻止する。

注意点

心筋梗塞を予防する事が需要。

高血圧症、脂質異常症、糖尿病などがリスク要因となる。

成分名と主な商品名

硝酸薬

ニトログリセリン:ニトロペン、ミオコールスプレー、バソレーター、ミリスロール、冠注用ミリスロール、

ニトログリセリン:貼布剤:ミリステープ、ニトロダームTTS、ミニトロテープ、バソレーターテープ

硝酸イソソルビド:ニトロール、硝酸イソソルビド「タカタ」

硝酸イソソルビド徐放剤:ニトロールR、フランドル、錠、テープ

一硝酸イソソルビド:アイトロール

β遮断薬

心臓が虚血状態に陥った時、心臓の働きを抑えて血液の酸素消費量を抑える。

自律神経系のβ1受容体は心収縮に働くのでそれをブロックする事によって心収縮を抑える。

作業をした際などに心臓に負担がかかっている労作性狭心症に用いられることが多い。

プフェトロール塩酸塩:アドビオール

その他の冠拡張薬

ジピリダモール:ペルサンチン、ジピリダモール

ジラゼブ塩酸塩水和物:コメリアン

トラピジル:ロコルナール

ニコランジル:シグマート

トリメタジン塩酸塩:バスタレルF