抗認知症薬

抗認知症薬

病態

認知症とは後天的に脳の器質障害が生じる事。記憶障害、実行機能障害、失行、失認、失語などのうち、いずれか1つの症状がある事、認知機能が病前の水準より低下する状態。

周辺症状として抑うつ、幻覚、妄想といった精神症状、そして徘徊、暴言、暴力などがある。

認知症には1、アルツハイマー型(約6割)2、レビー小体型認知症(約2割)3、血管性認知症(約2割)がある。

1、アルツハイマー型認知症は脳内にアミロイドベータ蛋白質が蓄積する事でアセチルコリンなどを分泌する神経細胞が衰えて脱落し脳内のアセチルコリンが減少、ここから指令が伝えられる大脳新皮質、海馬の機能が低下する。

2、レビー小体型認知は脳内(大脳皮質や扁桃体)にレビー小体と呼ばれる異常な蛋白質が蓄積され、正常な神経細胞が減少することが考えられている。

3、血管性認知症は、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)によって起こる認知症。

https://www.akira3132.info/Brains.html

治療薬

アルツハイマー型認知症治療薬

・コリンエステラーゼ阻害薬

コリンエステラーゼ阻害薬にはドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンの3種がある。

脳内アセチルコリンを増加させ脳内コリン作動性神経を賦活化する。

副作用は消化器症状が多い。

・NMDA受容体アンタゴニスト

アルツハイマー病では蓄積している異常なタンパク質によって興奮性の伝達物質であるグルタミン酸が常に放出されている状態になっている。

過剰に放出されたグルタミン酸は脳内のNMDA受容体(NMDA型グルタミン酸受容体)に作用し、この受容体が過剰に活性化することによって神経細胞の障害や記憶・学習機能の障害があらわれるとされる。

メマンチンはNMDA型グルタミン酸受容体に対して細胞内へのCa流入を阻害、拮抗する。

中~重症に有効性があるとされる。

軽症

コリンエステラーゼ阻害薬の1剤を選択する。効果不十分の場合、同効薬の他の薬剤に切り替える。

中等度

初期はコリンエステラーゼ阻害薬か、NMDA受容体アンタゴニストであるメマンチンを選択する。

効果不十分の場合、他のコリンエステラーゼ阻害薬の選択、コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンの併用も検討する。

重度

コリンエステラーゼ阻害薬の中でもドネペジルとメマンチンの併用を行う。

注意点

認知症治療薬は長期投与となる。

抗認知症治療薬の増量は必ずしも症状の悪化ではない事、増量時には消化器症状の副作用がおこる可能性が高くなる事に留意する。

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e934fe7880cdc02703041.html参照。

レビー小体型認知症治療薬

レビー小体とは脳の神経細胞内に異常なたんぱく質が蓄積されたもの。

ドネペジルが主に使用される。

周辺症状のパーキンソニズムにはゾニサミドが使用される。

治療薬の成分名と商品名

コリンエステラーゼ阻害薬

ドネペジル塩酸塩:アリセプト、ドネペジル塩酸塩

ドネペジル:アリドネ

ガランタミン臭化水素酸塩:レミニール

リバスチグミン:イクセロン、リバスタッチ

NMDA受容体アンタゴニスト

メマンチン塩酸塩:メマリー、メマンチン塩酸塩「DSEP」

抗アミロイドβ抗体

レカネマブ:レケンビ