抗血栓薬

抗血栓薬

凝固因子と血小板が関わり血液凝固がおこる。

血液凝固を抑制する薬剤には大別して①抗凝固薬と、抗血小板薬がある。

抗凝固系は凝固系カスケードのいずれかの点に拮抗する。

凝固系カスケードの解説https://www.kango-roo.com/learning/2220/

抗凝固薬はヘパリン、へパリノイド、合成Xa阻害薬、経口直接トロンビン阻害薬、クマリン系薬(ビタミンK拮抗薬)、抗トロンビン薬に分類される。

抗血小板薬はTXA2産生抑制薬、P2Y12阻害薬、その他に分類される。

その他、アスピリン・胃酸分泌抑制薬配合剤、血栓溶解薬(ウロキナーゼ、t‐PA)などがある。

抗凝固薬と抗血小板薬の併用は、出血のリスクを増加させるため、慎重な管理が必要。

抗凝固薬と抗血小板薬との併用は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ推奨される。(併用可)

①抗凝固薬

ヘパリン ヘパリノイド

血栓症はその処置・対応の速さが予後の不・良を決定するが、へパリンはその中でも汎用される薬剤であり、急性の場合の血栓溶解薬として非常に重要である。

作用点は凝固系におけるトロンビンの抑制因子である、アンチトロンビンⅢの抗トロンビン作用を活性化する。

合成Xa阻害薬

血液凝固の経路において活性化血液凝固第X因子(FXa)を阻害することで、血液の凝固を抑える。

DOAC Direct Oral AntiCoagulants

経口直接トロンビン阻害薬

血液凝固カスケードの中心的役割を担うトロンビンの活性を阻害することで、抗凝固作用や抗血栓作用を発揮。

クマリン系薬(ビタミンK拮抗薬)

ワルファリンは慢性的な血栓予防などとして汎用される薬剤。

血液検査値の処方に対するフィードが非常に重要な薬で4分の1錠単位での管理を行う。

また、食物との飲み合わせに対する注意や、他の薬剤に対する相互作用が非常に多い事が特徴。

入院から外来に移行した際にも服薬に対しては前述した注意点に対して、患者に十分な留意をしてもらうように指導する必要がある。

抗トロンビン薬

血液凝固に関与するトロンビンの活性部位に結合して、トロンビンによるフィブリン生成作用、血小板凝集作用、血管収縮作用を阻害し、血液の凝固を防ぐ。

②抗血小板薬

アスピリン、チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル塩酸塩、プラスグレル塩酸塩:エフィエント、などは主に脳、心疾患に用いられる。

シロスタゾール、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、などは主に末梢動脈疾患(PAD)に用いられる。

アスピリン・胃酸分泌抑制薬配合剤

抗血小板剤作用薬とカリウムイオン競合型アシッドブロッカーの2種類を配合した薬。

狭心症や心筋梗塞、虚血性脳血管障害などの血栓・塞栓形成を抑える効果がある。

同時に低用量アスピリン投与時の副作用である胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発リスクを軽減する。

ボノプラザンフマル酸塩配合錠:キャブピリンがある。

抗トロンビン薬

作用機序は血液凝固系におけるトロンビンを抑制する。 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩:プラザキサが挙げられる。

薬剤

①抗凝固薬

ヘパリン

ヘパリンナトリウム :ヘパリン、ノボヘパリン、ヘパリンNa「モチダ」ヘパリンNa透析用カテーテルロック「ニプロ」、ヘパフラッシュ

ダルテパリンナトリウム:フラグミン

ヘパリンカルシウム :ヘパリンCa「サワイ」ヘパリンカルシウム

パルナパリンナトリウム :ローヘパ

エノキサバリンアトリウム:クレキサン

ダナパロイドナトリウム :オルガラン

合成Xa阻害薬

フォンダバリヌクスナトリウム:アリクストラ

DOAC(経口直接Xa阻害薬)Direct Oral AntiCoagulants

エドキサバントシル酸塩水和物 :リクシアナ

リバーロキサバン:イグザレルト

アビキサバン:エリキュース

DOAC(経口トロンビン直接阻害薬)

ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩:プラザキサ

クマリン系薬(ビタミンK拮抗薬)

ワルファリンカリウム :ワーファリン、ワルファリンK、ワルファリンK「NS」

抗トロンビン薬

アルガトロバン水和物 :ノバスタンHI、スロンノンHI、アルガトロバン

②抗血小板薬

チクロピジン:パナルジン

クロピドグレル:プラビックス、クロピドグレル「SANIK」、クロピドグレル

プラスグレル塩酸塩:エフィエント

チカグレロル:ブリリンタ

クロピドグレル塩酸塩:コンプラビン、ロレアス「SANIK」

シロスタゾール:プレタール、シロスタゾール

イコサペント散エチル(EPA):エパデール、エパデールS

ベラプロストナトリウム、ドルナー、プロサイリン、ベラプラストナトリウム、ケアロードLA、ベラサスLA

サルポグレラート塩酸塩:アンプラーグ

アスピリン・ダイアルミネート配合:バファリン

アスピリン:バイアスピリン

アスピリン、チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル塩酸塩、プラスグレル塩酸塩:エフィエント、などは主に脳、心疾患に、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、などは主に末梢動脈疾患(PAD)に用いられる。

アスピリン・胃酸分泌抑制薬配合剤

アスピリン・ランソプラゾール配合 :タケルダ

アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩配合:キャブピリン

タケルダやキャブピリンはアスピリンによる胃・十二指腸潰瘍のリスクをボノプラザン、ランソプラゾールで抑える。

血小板溶解薬(ウロキナーゼ)

ウロキナーゼ:ウロキナーゼ

血栓溶解薬(t-PA)

アルテプラーゼ:アクチバシン、グルドパ

モンテプラーゼ:クリアクター

抗血栓末梢循環改善薬

バトロキソンビン:デフィブラーゼ

乾燥濃縮ヒト活性化プロテインC:アナクトC

プロテインC

トロンボモジュリンアルファ:リコモジュリン

カプラシズマブ:カブリビ

注意点

DOAC(Direct Oral AntiCoagulants)プラザキサは腎機能に応じて投与量を調整することが望ましい。

DOAC服用中に手術、歯科治療を行う際には医師に伝えるよう指導する。

手術前、内視鏡検査前には投与を中止する薬剤があるので術前に確認。

手術前chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.hop.fukuoka-u.ac.jp/center/07/drug/surgery2021.pdf

内視鏡前

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.hop.fukuoka-u.ac.jp/center/07/drug/endoscope2021.pdf

出血傾向(鼻血、皮下出血、血尿、血便)があらわれたら医師に相談するよう指導する。

抗凝固薬と抗血小板薬との併用は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ推奨される。(併用可)