血液製剤
血液製剤の分類
血液製剤とは薬剤の中でも血液に由来するものであり大きく全血製剤と血液成分製剤と血漿分画製剤に分けられる 。
全血製剤とは血液をそのまま用いるような形であり血液中の成分の全てのものを含む以前は治療に際して用いられることがあったが、現在では血液成分製剤、血漿分画製剤が用いられることが殆どでその用途は限られている。
血液成分製剤とは赤血球、血漿、血小板を含む 。
血漿はそのまま投与されることもあるが、血漿分画製剤として利用されることが多い 。
血漿分画製剤は免疫グロブリン、アルブミン、凝固因子製剤、その他に分けられる。
免疫グロブリン製剤
低または無ガンマグロブリン血症:血漿中のガンマグロブリンの低下、欠如の原因は先天性のもの後天性のものがある 。
ガンマグロブリンには5種類のサブタイプIgG、IgA、IgM、IgE 、IgDが存在するが このうちIgG、IgA、IgMの3種が顕著に低下している状態が低、無ガンマグロブリン血漿の特徴である。
グロブリンは免疫系に働く抗体antibodyと呼ばれるものでリンパ球のB細胞B-cellが産生する物質である。
体内に侵入してきた抗原に対して結合しその結合体を白血球やマクロファージが認識貪食して体内から除去するように働いたり、リンパ球などの免疫細胞が結合して免疫反応を起こし最終的に抗原による感染を防止する
。
この様にグロブリンは体内の免疫機能と深くかかわっており それが低下した状態では様々な病原菌に感染しやすくなり 免疫不全を起こす。
そのため免疫グロブリン製剤を用いることは 低、無ガンマグロブリン血漿の改善または重症感染症の改善に有用である 。
アルブミン
アルブミンは肝臓において造られる 血液中の蛋白としては最も多いものでその量は血管内浸透圧に大きく影響する 。
アルブミン製剤としては加熱人血漿蛋白があるが、主として以下に示すような低蛋白血漿が引き起こす病態の改善を目的とする 。
例えば大量の出血によって体内を循環する血液量が急激に低下した状態で臓器の循環が障害される状態である出血性ショックにおいて輸液と併せて用いられたり、強い打撲による毛細血管からの水分の漏出を伴う血管内すなわち血液の水分量の減少による血圧の低下によって引き起こされる外傷性ショック、血管透過性の亢進によって血漿が血管外に大量に漏出し循環血液の減少が生じる熱傷、アルブミン産生量の低下を起こす肝硬変、腎障害によってアルブミンの漏出を伴うネフローゼ等に用いられる。
凝固因子製剤
血液凝固第Ⅷ因子製剤、第Ⅸ因子、第ⅩⅢ因子製剤フィブリノゲン製剤がある アンチトロンビンⅢ製剤は抗凝固に働く 。
薬剤
ヒト免疫グロブリン
人免疫グロブリン:グロブリン「JH」
乾燥スルホ化人免疫グロブリン:献血ベニロン-I
ポリスチレングリコール処理人免疫グロブリン:献血ヴェノグロブリンIH
乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン:献血グロベニン
pH4処理酸性人免疫グロブリン:献血ポリグロビンN
pH4処理酸性人免疫グロブリン:ハイゼントラ
pH4処理酸性人免疫グロブリン:キュービトル
乾燥イオン交換樹脂処理人免疫グロブリン:ガンマガード
抗破傷風グロブリン
抗破傷風人免疫グロブリン:テタガムP、テラノブリン、破傷風グロブリン「ニチヤク」
ポリエチレングリコール処理抗破傷風人免疫グロブリン:テタノブリンIH
抗HBsグロブリン
乾燥抗HBs人免疫グロブリン:乾燥HBグロブリン「ニチヤク」ヘブスブリン
ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリン:ヘブスブリンIH
抗Dグロブリン:乾燥抗D(Rho)人免疫グロブリン「JH」
アルブミン
加熱人血症蛋白:献血アルブミネート
人血清アルブミン:アルブミン-ベーリング20%、アルブミナー、献血アルブミン「JH」、献血アルブミン「KMB」、献血アルブミン「タケダ」、献血アルブミン「ベネシス」、赤十字アルブミン
血液凝固因子
エプコグアルファ(活性型):ノボセブンHI
乾燥凝縮人血液凝固X因子加活性化第 因子:バイクロット
血液凝固第 因子:ルリオクトコダアルファ:アドベイト
ルリオトコグアルファベブル:アディノベイト
プロクトコグアルファ:ノボエイト
プロクトコグアルファペゴル:イスパロクト
エフラロクトコグアルファ:イロクテイト
ロノクトコグアルファ:エイフスチラ
ダモクトコグアルファペゴル:ジヴィ
シモクトコグアルファ:ヌーイック
エフアネソクトコグアルファ:オルツビーオ
乾燥濃縮人血系凝固第 因子:コンファクトF、クロスエイトMC
第 因子機能代替製剤
エミシズマブ:ヘムライブラ
血液凝固第 因子複合体
血液凝固第 因子複合体:PPSB-HT
フォン・ヴィレブランド因子製剤
ボニコグアルファ:ボンベンティ
プロトロンビン複合体
乾燥濃縮人プロトロンビン複合体:ケイセントラ
血液凝固第 因子
乾燥濃縮人血液凝固第 因子:ノバクトM、クリスマシンM
ノナコグアルファ:ベネフィクス
エフチレノナノコグアルファ:オルプロリクス
アルブトレベノナコグアルファ:イデルビオン
ノチコグベータペゴル:レフィキシア
血液凝固因子抗体迂回活性化複合体
血液凝固第 因子複合体:ファイバ
乾燥濃縮人血液凝固第 因子
乾燥濃縮人血液凝固第 因子:フィブロガミンP
カトリデカコグ:ノボサーティーン
抗TFPIモノクローナル抗体
コンシズマブ:アレモ
フィブリノゲン
乾燥人フィブリノゲン:フィブリノゲンHT「JB」
フィブリノゲン加第 因子:ベリプラストPコンビセット、ボルヒール
フィブリノゲン配合:タコシール
アンチトロンビン
乾燥人アンチトロンビンⅢ:献血スロノン、ノイアート
アンチトロンビンガンマ:アコアラン
ハプトグロビン
人ハプトグロビン:ハプトグロビン「JB」
その他
ヘミン:ノーモサング
全血製剤
人全血製剤:人全血液-LR「日赤」、照射人全血液LR「日赤」
血液成分製剤
人赤血球液:血液球液-LR「日赤」、照射赤血球液-LR「日赤」
洗浄人赤血球浮遊液:洗浄赤血球-LR「日赤」、照射洗浄赤血球-LR「日赤」
合成血:合成血液-LR「日赤」、照射合成血液-LR「日赤」、新鮮凍結人血漿:新鮮凍結血漿-LR「日赤」
新鮮凍結人血漿:新鮮凍結血漿-LR「日赤」
人血漿板濃厚液:濃厚血小板-LR「日赤」、照射洗浄血小板-LR「日赤」、照射洗浄血小板-LR、「日赤」濃厚血小板HLA-LR「日赤」、照射濃厚血小板HLA-LR「日赤」、照射洗浄血小板HLA-LR「日赤」
再生医療等製品
ヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞:テムセルHS
ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞:ステミラック