甲状腺疾患治療薬

甲状腺疾患治療薬

病態

甲状腺機能亢進甲状腺機能低下がある。

原因として炎症、自己免疫、腫瘍その他が考えられる 。

甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が亢進している状態。

甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの生産が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下している状態。

殆どの臓器に甲状腺のホルモンの受容体が存在しその影響を受けている。

甲状腺機能亢進の場合、暑がり、発汗多過、動悸、息切れ、食欲亢進、体重減少、下痢、不眠、易刺激性、などが認められる。

甲状腺機能低下の場合、寒がり、皮膚粗造、嗄声、体重増加、便秘、嗜眠、精神活動低下といった症状が現れる。

通常、甲状腺機能に異常があるかどうかの血液診断の指標としてはFT3、FT4そしてTSHを用いる。

血液中の甲状腺ホルモンはT3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)で存在し、そのほとんどがT4である。

T3、T4は通常、タンパク質に結合おらずFT3、FT4と呼ばれる。

FT3、FT4が高くTSHが低ければ、甲状腺機能亢進が疑われる。

FT3、FT4が少なくTSHが高ければ甲状腺機能低下が疑われる。

TSHは脳下垂体から分泌される甲状腺ホルモン:T3、T4の生産を調整する甲状腺刺激ホルモン。

甲状腺ホルモンは常に一定になるように一定の恒常性(ホメオスタシス)をもってコントロールされている。

血中のT3、T4が低くなると正のフィードバックがかかりTSHは増加する。

血中のT3、T4が高くなると負のフィードバックがかかりTSHは減少する。


甲状腺機能低下

甲状腺機能低下で最も多いのが橋本病である。

その他、粘液水腫がある。

橋本病は自身の体内の抗体が自身の甲状腺の細胞を攻撃すること(自己免疫反応)で発生する自己免疫疾患。

橋本病の主な症状。全身の倦怠感、寒がり、体重の増加、皮膚の乾燥、むくみ、活動性の低下、月経異常

粘液水腫は、非常に重度の甲状腺機能低下症を指す。

甲状腺ホルモン薬にはレボチロキシン(L-T4):チラージンSとリオチロニン(T3)がある。

レボチロキシン(L-T4):チラージンSを投与の際には。少量12.5μgから開始し時間をかけて維持量に移行する事が望ましい。

投与開始時に頻脈や動悸が見られる事がある。

FT4が正常値になってもTSHが安定するのに時間を要する。

甲状腺機能亢進

甲状腺機能亢進のほとんどがバセドウ病である。

バセドウ病は自己免疫疾患のひとつでTSH受容体を刺激する自己抗体が造られる事が原因となる。

バセドウ病の主な症状。甲状腺の腫大、頻脈、眼球突出、動悸、多汗、体重減少、疲労感、手の震え、息切れ

チアマゾール:メルカゾール、プロピルチオウラシル:プロパジールの2種がある。

ヨウ素は甲状腺ホルモンの放出を抑制する効果がある。

抗甲状腺薬は投与開始以降、定期的な血液検査が必要。

服薬開始後は発熱、咽頭痛、全身倦怠感に注意する。

効果発現までに時間を要する。

自己判断で中止しない。

薬剤

甲状腺ホルモン製剤

レボチロキシンナトリウム(T4水和物):チラージンS

リオチロニンナトリウム:チロナミン

抗甲状腺薬

プロピルチオウラシル:チウラジール、プロパジール

チアマゾール:メルカゾール

ヨウ素

ヨウ化カリウム:ヨウ化カリウム「日医工」

ヨウ化ナトリウム:ヨウ化ナトリウム

ヨウ化レシチン:ヨウレチン

ヨウ化メチルノルコレステロール131I:アドステロール-I131