鎮痛薬(非ステロイド系抗炎症薬など)

鎮痛薬(非ステロイド抗炎症薬など)

非ステロイド系抗炎症薬について。

疼痛は受診時、患者の主訴として最も多いものである。

疼痛は次の様に分類される。

 

侵害性疼痛

神経障害性疼痛

心因性疼痛

 

侵害性疼痛は切り傷や火傷、打撲、骨折などのケガや、一部の頭痛や歯痛、関節リウマチや変形性関節症の痛みなど。

神経障害性疼痛は痛みを伝える神経の損傷や疾患の直接的な結果として引き起こされる疼痛。

心因性疼痛はストレスや不安など精神的・心理的問題で生じる痛み。

慢性疼痛緩和の第一選択薬としては非ステロイド系抗炎症薬外用剤もしくはアセトアミノフェンが用いられる。

それでも効果が得られない場合、選択的シクロオキシゲナーゼ2COX-2阻害薬を含む経口NSAIDsが用いられる。

それでも疼痛が慢性的に続く場合は、オピオイド(麻薬性、及び非麻薬性)も選択肢の対象となる。

作用機所

非ステロイド系抗炎症薬はNSAIDsと呼ばれ、アラキドン酸カスケードにおけるCOX:シクロオキシゲナーゼを阻害しPG:プロスタグランジンの生成を阻害する。

その結果、プロスタグランジンの生成は阻害され熱と炎症が抑えられる。

細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入すると、人間の免疫がそれを除去しようとする。

この際に起こる腫れや痛みを伴う症状は炎症性反応と呼ばれる。

COXには1、2があるがNASDIsは選択的にCOX-2を阻害するものが望ましい。

NSAIDsの一番多い副作用は胃腸障害でありそれはCOX-1を阻害することによる胃粘膜保護の減弱による。

そのため製剤のプロドラッグ化(プロドラッグとは体内、肝臓代謝後に本来の薬効を示す物質となるもの)が重要視されている。

COX-1は胃粘膜を守り、血小板の働きにも作用する。COX-2は炎症を起こす方向に働く。COX-2を選択的に阻害する薬剤の方が胃腸への副作用は少ない。

アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは比較的安全性の高い薬物とされている。

鎮痛・解熱作用はあるが抗炎症作用はほとんどない。

平熱時、服用しても体温に影響しない。

4g/日を上限とする。

肝障害にも留意する必要があり、肝障害のある場合、1.5g/日以下が望ましい。

妊娠中でも比較的安全に服用できる。

リウマチでの使用は補助的な鎮痛作用にとどまる。

インフルエンザ時の解熱、鎮痛作用には脳症を回避する目的でAAPが推奨されている。

2g/日以上の服用とNSAIDsとの併用は消化管障害に注意する。

外用剤

貼布剤は局所的な病変に有用。

ケトプロフェンテープは関節リウマチに対する適応がある。

NASIDs外用薬は光線過敏症(日光や可視光線にさらされた皮膚が過剰に反応して、かゆみ、発疹、赤みなどの症状が現れる病気などの症状)に繋がるため注意が必要。

経皮吸収率が高いテープ剤は内服薬同様の注意が必要。

オピオイド(麻薬性、及び非麻薬性)

主に痛みを感じる中枢神経に存在するオピオイド受容体に作用することで、痛みの信号を抑制し、鎮痛効果を発揮。

非麻薬性のトラマドール、ブプレノルフィンテープ、麻薬性のフェンタニル貼布剤、オキシコドン徐放錠が承認されている。https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_keyopioid.html

作用の強度は、上記の順に強くなる。また、副作用の強度もそれに沿っている。

副作用は、便秘、悪心、睡眠障害などがあり、投薬時の説明が望ましい。

開始時は斬増、中止時には斬減する。

神経障害性疼痛緩和薬

神経系に作用し、抗炎症作用はない。

副作用は、めまい、頭痛、傾眠など。

開始時は斬増、中止時には斬減する。

その他の鎮痛薬

抗てんかん薬、抗うつ薬

本来の治療目的以外に神経痛などに使用される。

抗てんかん薬であるカルバマゼピンを三叉神経痛に、抗うつ薬のデュロキセチンを糖尿病性神経障害に、アミトリプチリンを末梢神経障害性疼痛に使用する事がある。

NSAIDsの注意事項

NSAIDsはCOX2選択薬でも慢性投与は避ける。

NSAIDs貼布剤には経口薬と同等の強さのものがあり、貼る回数に注意する。

例)ジクトルテープ、ロコアテープ・・

非ステロイド薬の強さ

NSAIDs外用<アセトアミノフェン<NSAIDs内服<トラマドール<ブプレノルフィン<フェンタニル<オキシコドン


A、アセトアミノフェン

アセトアミノフェン:アセトアミノフェン「JG」、アンヒバ、アルピニー、カロナール

アセトアミノフェン配合剤:PL、幼児用PL 、ぺレックス、小児用ぺレックス

薬剤の成分名と商品名

B、NSAIDs

B-1、サリチル酸系

サリチル酸ナトリウム :サリチル酸ナトリウム

サリチル酸ナトリウム・コンドロイチン硫酸エステルナトリウム配合:カシワドール

アスピリン:アスピリン

B-2、アントラニル系

メフェナム酸:ポンタール

フルフェナム酸アルミニウム:オパイリン

B-3、アリール酢酸系

(フェニル酢酸系)

ジクロフェナクナトリウム :ボルタレン、ボルタレンSR、ナポールSR、レクトス 、ジクトル

(インドール酢酸系)

インドメタシン:インダシン、インテバン、インドメタシン

アセメタシン:ランツジール

インドメタシンファルネシル :インフリー

プログルメタシンマレイン酸塩:ミリダシン

スリンタグ:クリノリル

(ピラノ酢酸系)

エトドラク:ハイペン、オステラック

アリール酢酸系(ナフタレン系)

ナブメトン:レリフェン

B-3、プロピオン酸系

イブプロフェン:ブルフェン

フルルビプロフェン:フロベン

フルルビプロフェンアキセチル:ロピオン

ケトプロフェン:カピステン、ケトプロフェン

ナプロキセン:ナイキサン

プラノプロフェン:プラノプロフェン「日医工」

ロキソプロフェンナトリウム水和物:ロキソニン 、ロキソプロフェンナトリウム

ザルトプロフェン:ソレトン、ペオン

B-4、オキシカム系

ピロキシカム :バキソ

アンピロキシカム:フルカム

ロルノキシカム :ロルカム

メロキシカム:モービック

B-5、コキシブ系

セレコキシブ:セレコックス、セレコキシブ「VTRS」

B-6、塩基性

チアラミド塩酸塩 :ソランタール

C、神経障害性疼痛緩和薬

経皮用剤

インドメタシン:イドメシン、インテバン、カトレップ、インサイド

ピロキシカム :フェルデン、バキソ

フェルビナク:ナパゲルン、フェルビナク、セルタッチ

副腎エキス・へパリン類似物質配合:ゼスタック

ロキソプロフェンナトリウム水和物:ロキソニン、ロキソプロフェンNa

ジクロフェナクナトリウム:ボルタレン、ナボール、ジクロフェナクNa 、ジクロフェナクナトリウム、ジクトル

ケトプロフェン:セクター、モーラス、ミルタックス

フルルビプロフェン:アドフィード、ゼポラス、フルルバン、ヤクバン

エスフルルビプロフェン・ハッカ油配合:ロコア

NSAIDs貼布剤には経口薬と同等の強さのものがあり、貼る回数に注意する。

外皮用剤配合

スチックゼノールA

MS温湿布

「温湿布」にはトウガラシ成分のカプサイシンが配合されており、ヒリヒリ、ポカポカした感じを与える。

MS冷湿布

「冷湿布」や「テープ剤」には、メントールが配合されており、スース―、ヒヤヒヤした感じを与える。

「皮膚の感覚」に違いがあるが、どちらも、皮膚や筋肉の温度変化はないので気持ち良いと感じる方を貼ればよいとされる。

ただし、温湿布には、新しい第2世代と言われる消炎鎮痛剤の含まれたものが少なく、含まれる薬剤は時代の古いものが多いため、冷湿布やテープ剤などがよく処方される。

神経障害性疼痛緩和薬

プレガバリン:リリカ、プレガバリン「VTRS」、プレガバリン

ミロガバリンベシル酸塩:タリージェ

鎮痛補助剤

ワクシニアウイルス:ノイロトロピン

ピラゾロン系

スルピリン水和物:スルピリン

配合剤:SG

配合剤

キョーリンAP2

その他(リウマチ性疾患補助治療薬)

運動器関連薬

精製ヒアルロン酸ナトリウム:アルツ、スベニール

ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム:ジョイクル

ヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマー等配合:サイビスク

コンドロイチン硫酸エステルナトリウム:コンドロイチン硫酸ナトリウム「日医工」

コンドリアーゼ:ヘルコニア